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模範演奏者と個性的なピアニスト [音楽・ドラマ・映画]

ショパンコンクルールなるイベントがある。

有名演奏家となるための登竜門であるショパンコンクールで表彰されるピアノ弾きたちは、選抜された方々だらけのせいなのか、コンクールでの模範演奏を意識して弾いているいるのではないかと思うようになった。模範演奏ばかりなら、ピアニストとしての個体差は見出せない。


ピアニストとて一人の人間。好きな曲は滅法上手いが、そうでない曲はミスが多い。地元出身のピアニストの演奏がそうだった。

最近は、コンクール優勝者であるか否かではなく、全集ものをきちんと録音するかどうかでピアニストの実力評価の物差しになるのではないかと思うようになった。


名手と言われるアルゲリッチの場合はどうか。テクニック的な冴えを感じさせる録音が多い。ただし、他のピアニストとの比較で優位に立てない曲目は選ばないピアニストであるようだ。全集ものを扱おうとせず、近年は連弾ものが多いこともあり、テクニック的な峠は過ぎたようだ。


巨匠レベルだと、ホロヴィッツとポリーニがいる。ホロヴィッツはダイナミックかつ歯切れの良い演奏が多い。ショパンのマズルカは気に入っている。ポリーニは難曲をさらりと弾いてしまうためか、芸術性が吹き飛んでしまう傾向があるものの、ショパンの前奏曲集、ポロネーズ集ならポリーニがダントツ。


ブレンデルは当たり外れが少ない気がする。ミケランジェロはライブ演奏もので優れた演奏をすることがある。気分的に乗った時の冴えはさすがと思う。バレンボイムはバランスの取れた演奏をする。


ピリスは、一度故障した後、甦り、彼女ならではの名演奏を披露した。モーツアルトのソナタ集、ショパンの夜想曲あたりは必聴。

サンソン・フランソワというフランスのピアニストがいる。弾き方が、あまり型にはまらず、リラックスした雰囲気のピアニスト。その曲が持つ、特徴、情念を引き出そうとしている。悪く言うと、脱線気味、良くとると思いのまま。思わずブラボーと叫びたくなることがたまにある。


フランスものでは、カサドシュがいる。テクニックを強調せず、上品な弾き方であると思う。ラヴェル、ドビッシーは必聴。

辻井伸行はどうか。透明感ある渓流みたいな場所での演奏に聴こえる。フジコ・ヘミングは、テクニック的には今一つな気がするが、メロデイライン的には日本人受けしやすい。ショパンなら、中村紘子の方がいいような気がする。名手としては内田光子がいる。少し頑張り過ぎているように見える。ピリスのようにリラックスして聴ける演奏であって欲しいと思っている。


最近は、有名か否かではなく、リラックスして楽しめるピアノ曲を探して聴くようになった。フィンランドものを得意とする舘野泉の、季節感溢れる叙情的演奏は別格。パルムグレンのピアノ曲は、この人のものが最高ではないかと思うほどである。


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