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ドビッシー聴き比べ [音楽・ドラマ・映画]

クラシックのピアノ曲の中で、聴き比べして面白そうなのはそんなにない。
印象派の作曲家ドビッシーは、他の作曲家とは異なり、独創的なピアノ曲を残した。
私的にはドビッシーのピアノ曲CDは、結構購入、あまり聴かず放置状態だったが、チッコリーニのCD購入を契機に所蔵CDを聴き比べてみた。
・ギーゼキング
価格的に安価かつ無難な演奏。これを買っておけば間違いはない。
・ミケランジェリ
名手ミケランジェリのドビッシーの[Image]は一聴の価値がある。名手ならではのさっぱりとして爽やかさあふれる演奏。ドビッシーが作曲時に企図した「虹」が一番見えている演奏家。
Arturo Benedetti Michelangeli plays Debussy - Images (1962)
Debussy: Préludes / Book 1, L. 117 - I. Danseuses de Delphes
・ポリーニ
アンコールでドビッシーを弾くのには驚いた。日本のコンサートということでの粋な選曲と思う。いつも通り格調高く仕上がっている。
Pollini plays 2 preludes by Debussy as encores in Japan
・サンソン・フランソワ
聴き手からみて演奏家の好きな曲とそうでない曲がわかりやすい。聴き比べた中でベストと思ったのがフランソワ。ミケランジェリやポリーニの演奏は素晴らしいが、ダイナミックな感性に溢れ、新たな発見がある次元の違う演奏が多い。
フランソワ ドビッシー.jpg
ドビュッシー 「版 画」 サンソン・フランソワ Debussy “Estampes”
2 Arabesques, CD 74, L. 66: No. 1, Andantino con moto
月の光 Clair de lune サンソン・フランソア1961
ドビュッシー:映像 第1集 / フランソワ
・辻井伸行
どの演奏も素晴らしい。フランソワの演奏を涼しくかつ清流が流れる場所で聴いた感じに近い。清潔感、ダイナミック感、リズム感は突出している。YOUTUBEで素晴らしい演奏が無料で聴けることが申し訳ないくらい。
Nobuyuki Tsujii plays Claude Debussy’s L'Isle joyeuse 辻井伸行/ドビュッシー:喜びの島
辻井伸行 子供の領分 ドビュッシー作曲 (グラドゥス・アド・パルナッスム博士 象の子守歌 人形へのセレナード 雪は踊っている/小さな羊飼い 
辻井伸行  亜麻色の髪の乙女 (La fille aux cheveux de lin) ドビュッシー作曲 Nobuyuki Tsujii
・リヒテル
名手なのだが、どう論評していいかいつも迷う。
ドビュッシー 「版 画」 スヴャトスラフ・リヒテル Debussy “Estampes”
・カサドシュ
フランスものを得意とするピアニスト。モーツアルトの場合と同様、柔らかで上品な演奏。BGM向き。
・ルガンスキー
右手の冴えある演奏と比較し左手の音が弱い?ため、ダイナミックさに欠けるという評価があるようだが、楽しめる演奏と思う。
Lugansky - Debussy, Estampes : Pagodes, La soirée dans Grenade, Jardins sous la pluie
・チッコリーニ
メリハリの効いたド派手なドビッシー。出来は悪くない。これも一つのスタイル、ホームコンサート風と思えばいい。
・アルゲリッチ
名手であることは確かだが、ドビッシーはあまり弾かない。
Martha Argerich | Debussy: Estampes (Live)
・モニク・ハース
あくまで教科書的な演奏。クラシック初心者向き。
・館野泉
印象に残る演奏が多い。安心感あるノクターン感覚の演奏が多い。
ドビュッシー:夢
・冨田勲
シンセサイザーでの編曲もののCDを聴いた時は度肝を抜かれた。感化されて、ヤマハのシンセサイザーやマルチトラックレコーダー、シーケンサーを購入したが、結局何もできずに終わった。
早期退職し、晴れて退職した翌日に聴いたドビッシーは、何物にも囚われることのない世界を表現していた。1カ月はフレッシュな気分に浸れた。
持病を抱えていたこともあり、以降働きに出ることはしなかったが、振り返ってみて早期退職即隠居が自分の人生において最善の決断だったと今は思っている。

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SNSやブログでの寄付金詐欺に注意 [社会動向]

ここにきて、寄付金詐欺とみられるSNS、寄付金サイトが増殖中のようなので、その特徴について紹介する。
・活動場所
SNS、匿名で寄付呼びかけ可能なブログ
・同情を誘うキーワードが目立つ
被害者、余命、障碍者
SOS、HELP、サポート
助けて下さい、困っています
脅迫、嫌がらせ、誹謗中傷
・決定的な証拠情報、画像が無い
被害を裏付ける情報がまったくない
加害設備に関する画像、数値情報がまったくない
加害者からの脅迫、嫌がらせ、誹謗中傷に関する具体的情報がない
・感情に訴える表現だらけ
・文章的には支離滅裂だがブログで使用される画像は立派なものだらけ
・質問には答えないが興味を持った相手には質問する
・氏名だけでなく、住所、電話番号、メールアドレス不明


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美しいショパン [音楽・ドラマ・映画]

クラシック初心者時代、中村紘子が演奏するショパンの有名曲をよく聴いた。

ただ、彼女が全盛期、コーヒーのCMに長期間出演したこともあり、甘さたっぷりのショパンの固定概念が残像として残ってしまった。

その後、これら有名曲を毎日聴くことは次第に受け付けられなくなった。


一方、(甘さのない)ショパンの難曲を上手にピアノを弾ける演奏家はたくさんいる。ポリーニはその代表格。芸術家として評価すべきレベルのレコードとして、ショパンのエチュードがある。この演奏は、他の演奏家と比較し圧倒的な演奏として評価されている。音楽評論家吉田秀和の評価もそうなっている。


しかし、ショパンに限って言うと、ポリーニの演奏は、甘ったるさがなく、品格を備えた素晴らしいものなのであるが、何か足りない気がする。


しかし、近藤由貴が弾くショパンは、そのようなことはない。

心に響くのである。彼女が演奏したショパンの「別れの曲」は、普通のピアニストの場合、悲しい別れを聴きながらイメージしてしまうが、彼女の場合は美しい別れに聴こえてしまう。


近藤マジックと言っていい。


ショパン 別れの曲 エチュード Op.10-3 ピアニスト近藤由貴/ Chopin Etude Op.10 No.3 Tristesse,Yuki Kondo





ノクターンはどうか。全曲演奏したものはないが、ノクターン第2番安心して聴ける。ノクターンは安心感が重要な要素。演奏家としての主張を極力抑え、ほっとするひと時が味わえる。甘ったるさもない。


ショパン ノクターン第2番 ピアニスト近藤由貴/ Chopin Nocturne Op.9-2,Yuki Kondo【クラシック名曲】



子犬のワルツについては、ともすればトリッキーな演奏が多い中、彼女は右手と左手が同期した正確な演奏を試みている。耳でかなり細かい音を聴き分ける能力がある、素晴らしい耳をしていると思う。


子犬のワルツ/Chopin Minute Waltz 近藤由貴 Yuki Kondo



ワルツ集最初の曲で、ありふれただるさ感が漂うせいで、ワルツ集の中で一番聴きたくない曲であるが、彼女の演奏は、酒に例えると上善水の如し的水準に仕上げている。


ショパン:華麗なる大円舞曲 Op.18 ピアニスト 近藤由貴/Chopin: Grande Valse Brillante Op.18, Yuki Kondo



幻想即興曲は、演奏家としての誇張というか主張を控えた、スッキリとした演奏である。


ショパン: 幻想即興曲 ピアニスト 近藤由貴/Chopin: Fantasie Impromptu Op.66, Yuki Kondo



軍隊ポロネーズは、キレがあり、マシンガンにように畳みかける重層な演奏である。


ショパン:軍隊ポロネーズ ピアニスト 近藤由貴/Chopin: Military Polonaise Op.40-1 Piano, Yuki Kondo




演奏テクニック的には、彼女以上の演奏家はいる。が、彼女は、原作に忠実かつ美しいショパンを聴き手に提供しようとしている。彼女の演奏を聴いて、ショパンを聴き直す気になった。


「ショパン」という月刊誌にて彼女のことが紹介されたそうである。

近藤由貴.jpg



私にとって、今、コンサート会場で聴きたい演奏家は近藤由貴ただ一人である。



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ストリートピアノという表現手段 [ストリートピアノ]

クラシックのピアニストのストリーピアノの演奏が動画で見ることができる。
近藤由貴については、国内各地のストリートピアノだけでなく、海外(特にフランス)でのストリートピアノの演奏がYoutubeで聴ける。
正直この人は凄い。弘法筆を選ばずの格言どおり実践している。
彼女は、ピアニストとして左程有名ではない。
しかし、少なくとも、上手いか下手かだけの尺度以外の評価が彼女には当てはまる。
【海外ストリートピアノ 総集編】フランスの駅ピアノ巡りしたら、人々がすごかった! ピアニスト近藤由貴/Street Piano in France, Yuki Kondo
他にも凄い、ストリートピアニストがいる。
【藝大首席卒75才】ピアノおばあちゃんの本気ストリートピアノがすごい!(3の2)
Nocturn Op.9 No.2 by Chopin 【藝大首席卒75才】
学校帰りに『幻想即興曲』弾いた女子高生がヤバすぎるww【 ショパン / 幻想即興曲 / Chopin / Fantasie Impromptu / Op.66 / ストリートピアノ 】
ホストクラブに貢ぐ女の子に貢ぐおじさんがたくさんいるそうだが、どうせ貢ぐなら、正々堂々たる演奏を続ける潔いストリートピアニストに貢ぎたいところである。

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早期退職 生き方としてのメリット [懐古録 余生]

雑誌、新聞などで一人の人間の生き方の選択肢として、早期退職が語られるケースが増えた。
企業側は、経営者が必ずしも有能とは思えない人たちであるのにもかかわらず、中高年を能力や実績で評価せず、例外なく不要な存在と見なす傾向にあり、60歳を過ぎて再雇用する人に対する(実態的に現役時代と同一労働なのに)現役時代の半分以下の賃金設定が続出していることなどにより、(潜在的なケースを含め)早期退職志願者が増えているように思う。
実は、私は早期退職者である。
会社の最初の早期退職募集に応募し、その後、十数年一度も働くこともなく、年金生活に入った。
さて、「名曲三〇〇選」(吉田秀和)の巻末にて、片山社秀は、音楽評論家である吉田秀和の生き様を次のように評している。
……………………………………………………… 
吉田さんは、若い頃には役所や学校に勤めもした。その後、引き受けている役職だってある。
けれど、もうずいぶん長いあいだ、誰かに一方的に使われず、組織に縛られず、人の顔色を窺わずに、生き続けてこられた人なのだ。自らの独立を守り、こつこつと原稿を、それも相手に魂を売らうに書いて生き、そのようにして暮らしてゆく立場を侵害されそうになれば、敢然と戦う。まさに絵に描いたような市民なのである。他人にこきつかわれて暮らす平民とも、霞を食って生きている遊民とも違う。
そういう市民である評論家が擁護するクラシック音楽は、平民派や遊民派とは自ずと違ってくるだろう。遊民派の好む、地に足のついていなかったり、分かりにくくて新しがるばっかりのアクロバットを拒み、平民派の好む、短くて分かりのよい直情径行な音楽や、単純な繰り返しに満ち、そんなにアタマを使わずに身を任せていられる音楽を退ける。
………………………………………………………………
音楽評論家吉田秀和の生涯は以下にて。
吉田秀和
組織に依存せず、組織に縛られず、好きなことをやりつつ自由にモノが言えることは、言論活動上とても重要なことである。
もちろん、自由にモノを言うのに際して、たっぷりある時間をどう有効に使うかという大前提があることは無視できない。
人生は時間との戦いである。残された人生における時間の価値を知れば知るほど、早期退職して良かったと思っている。
対照的に、政治動画の世界では、たったの5分で済むことを1時間たっぷり視聴者を引きずり込む政党関係者がおられる。皇室問題をテーマに選び酒を飲みつつチビリチビリ問題提起される方もおられる。この方、元共産党員で今は保守に転向したとしている。言論作法的に日本会議的発想で言うと、皇室を貶める目的での言論活動と思いつつあるところである。

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