クラシックのピアノ曲の中で、聴き比べして面白そうなのはそんなにない。


印象派の作曲家ドビッシーは、他の作曲家とは異なり、独創的なピアノ曲を残した。


私的にはドビッシーのピアノ曲CDは、結構購入、あまり聴かず放置状態だったが、チッコリーニのCD購入を契機に所蔵CDを聴き比べてみた。



・ギーゼキング

価格的に安価かつ無難な演奏。これを買っておけば間違いはない。


・ミケランジェリ

名手ミケランジェリのドビッシーの[Image]は一聴の価値がある。名手ならではのさっぱりとして爽やかさあふれる演奏。ドビッシーが作曲時に企図した「虹」が一番見えている演奏家。


Arturo Benedetti Michelangeli plays Debussy - Images (1962)

https://www.youtube.com/watch?v=2eSQWansMOU


Debussy: Préludes / Book 1, L. 117 - I. Danseuses de Delphes

https://www.youtube.com/watch?v=VKl-dNZf-sk&list=OLAK5uy_lfYNqZ7H4MvkoIhDj41u7MYGyFjvPcPbw


・ポリーニ

アンコールでドビッシーを弾くのには驚いた。日本のコンサートということでの粋な選曲と思う。いつも通り格調高く仕上がっている。


Pollini plays 2 preludes by Debussy as encores in Japan

https://www.youtube.com/watch?v=XWpN5ioWr2g


・サンソン・フランソワ

聴き手からみて演奏家の好きな曲とそうでない曲がわかりやすい。聴き比べた中でベストと思ったのがフランソワ。ミケランジェリやポリーニの演奏は素晴らしいが、ダイナミックな感性に溢れ、新たな発見がある次元の違う演奏が多い。



ドビュッシー 「版 画」 サンソン・フランソワ Debussy “Estampes”

https://www.youtube.com/watch?v=BGQU90pSBAg


2 Arabesques, CD 74, L. 66: No. 1, Andantino con moto

https://www.youtube.com/watch?v=wrm2FBww75M


月の光 Clair de lune サンソン・フランソア1961

https://www.youtube.com/watch?v=2OAn9-mdeGs


ドビュッシー:映像 第1集 / フランソワ

https://www.youtube.com/watch?v=E4sqkOXrbdg


・辻井伸行

どの演奏も素晴らしい。フランソワの演奏を涼しくかつ清流が流れる場所で聴いた感じに近い。清潔感、ダイナミック感、リズム感は突出している。YOUTUBEで素晴らしい演奏が無料で聴けることが申し訳ないくらい。


Nobuyuki Tsujii plays Claude Debussy’s L'Isle joyeuse 辻井伸行/ドビュッシー:喜びの島

https://www.youtube.com/watch?v=pJISZnMflok


辻井伸行 子供の領分 ドビュッシー作曲 (グラドゥス・アド・パルナッスム博士 象の子守歌 人形へのセレナード 雪は踊っている/小さな羊飼い 

https://www.youtube.com/watch?v=2DcT_b3E5lk


辻井伸行  亜麻色の髪の乙女 (La fille aux cheveux de lin) ドビュッシー作曲 Nobuyuki Tsujii

https://www.youtube.com/watch?v=c-4bAlETGic


・リヒテル

名手なのだが、どう論評していいかいつも迷う。


ドビュッシー 「版 画」 スヴャトスラフ・リヒテル Debussy “Estampes”

https://www.youtube.com/watch?v=2Vh-sJz8kK0


・カサドシュ

フランスものを得意とするピアニスト。モーツアルトの場合と同様、柔らかで上品な演奏。BGM向き。


・ルガンスキー

右手の冴えある演奏と比較し左手の音が弱い?ため、ダイナミックさに欠けるという評価があるようだが、楽しめる演奏と思う。


Lugansky - Debussy, Estampes : Pagodes, La soirée dans Grenade, Jardins sous la pluie

https://www.youtube.com/watch?v=Rkno2COmh50


・チッコリーニ

メリハリの効いたド派手なドビッシー。出来は悪くない。これも一つのスタイル、ホームコンサート風と思えばいい。


・アルゲリッチ

名手であることは確かだが、ドビッシーはあまり弾かない。


Martha Argerich | Debussy: Estampes (Live)

https://www.youtube.com/watch?v=fAgd8nTvhMU


・モニク・ハース

あくまで教科書的な演奏。クラシック初心者向き。


・館野泉

印象に残る演奏が多い。安心感あるノクターン感覚の演奏が多い。


ドビュッシー:夢

https://www.youtube.com/watch?v=PnSxRaSh_LE


・冨田勲

シンセサイザーでの編曲もののCDを聴いた時は度肝を抜かれた。感化されて、ヤマハのシンセサイザーやマルチトラックレコーダー、シーケンサーを購入したが、結局何もできずに終わった。



早期退職し、晴れて退職した翌日に聴いたドビッシーは、何物にも囚われることのない世界を表現していた。1カ月はフレッシュな気分に浸れた。

持病を抱えていたこともあり、以降働きに出ることはしなかったが、振り返ってみて早期退職即隠居が自分の人生において最善の決断だったと今は思っている。