オーケストラでベートーヴェンの交響曲を全曲録音したものは多い。が、モーツアルトの交響曲については曲数が多いためかあまり見かけない。


全曲録音するための時間を要するためである。



幸いにして、全曲録音したCDセットで、それほど有名でないオーケストラのものを2セット所蔵している。





共通しているのは左程有名でない曲が、有名曲と遜色ない曲にように聴こえることだった。

有名でないオーケストラが、有名でない曲を愛着を以て練習し録音した形跡があるのだ。


カラヤンなどの有名指揮者による演奏は、ともすれば、他の有名指揮者と差別化を図る意図があるためか、後期交響曲中心、特に40番と41番に凄まじいばかりの情熱を傾けた演奏のように聴こえてしまう。


見方を変え、作曲家の立場に立ってみると、いわゆる後期交響曲に分類されているもので、のめり込み作曲しただろうかという疑問がある。


左程有名でないオーケストラの場合、なんとなくであるが、ザルツブルグやウイーンの森、鳥の囀りや小川のせせらぎを意識したような雰囲気の演奏がさりげなく続く。


有名どころはそうはいかない。聴衆を少しでも退屈にさせては名声を失う。のんびりとやっている余裕はない。よって、スピーデイかつエッジの効いた、疾走感ある演奏に仕立てようとする。


モーツアルトは、「ザルツブルグやウイーンの森、鳥の囀りや小川のせせらぎ」とは無縁の疾走感ある曲として作曲したのであろうか?


有名どころの、有名曲の演奏を聴きながらつい思ってしまうのである。