何度も殺されそうになったカトリック神父の話 [音楽・ドラマ・映画]
現実の話ではないが、サスペンスもののドラマ「ブラウン神父」にて、謎解きして犯人捜しをする主人公、カトリックのブラウン神父のことである。
神父は、懺悔室あるいは、出くわした現場にて、容疑者に対し、悔い改めなさいと言い、眼を瞑りつつ素直に話しを聞こうとするが、容疑者はブラウン神父に対し、隙をみて危害を与え拘束までしようとする。
ところが、ブラウン神父は一向にめげる様子がない。
神父なので、犯人だと分ると、職業柄懺悔させようとするので、何度も殺されそうになり、神父のリスキーな境遇につい同情してしまうのである。
「ブラウン神父」の登場人物と内容、見どころを紹介
モーツアルトピアノソナタ全集 どれがお薦め? [音楽・ドラマ・映画]
全集ものがいろいろ発売されているモーツアルトのピアノソナタ集については、いわゆる名手による演奏ものが名盤とは限らない。一曲ないし数曲だけうまく弾ける演奏家がいたとしても全曲となるとどうか。
モーツアルトピアノソナタ集ならではの難しさがある。ピアノを弾かれる方なら常識。テクニックがあれば元気一杯に弾けばいいというものでもない。
名盤と言われるものはピリスの2回目の録音とされるが、名盤だから真っ先に買うべきか。私は悩んだ。いろいろ迷いつつ数セット買い揃えた。
・最初にどれを買うべきか?
ピリスの若い時代の演奏のもの(ピリスの1回目の録音)をお薦めしたい。価格的に安く、弾き手の純粋な情熱、神聖さ、リズミカルなタッチが感じられる。
・モーツアルトらしい神聖な雰囲気がある演奏
リリー・クラウスか仲道郁代。
リリー・クラウスは綺麗好きな人向き。仲道郁代はややノクターン風。
・テクニック的に上を目指したい方向けの演奏
内田光子かZachariasあたり。
・BGMに適している演奏
バレンボイムかブレンデル。
次はグレン・グールドあたりを買おうかと思っている。
いろいろ聴き比べた結果となるが、モーツアルトのピアノソナタに関しては、女性ピアニストの感性が男性ピアニストを上回っているようである。
ウイーンの雰囲気溢れるモーツアルトらしい1枚 [音楽・ドラマ・映画]
最近、聴きたい音楽CDが減ってきている。
明けても暮れてもモーツアルト一色となりつつある。そんな中、久しぶりに聴き比べしたい曲に出会ったので、その曲について紹介させていただく。
モーツアルトはウイーン時代に後世に残る傑作を残している。モーツアルトファンが愛してやまないピアノソナタ、ピアノ協奏曲、交響曲はこの時代のものに集中している。
さて、作曲年不明と言われるディヴェルティメント第17番は、ウイーン時代に作曲されたものと推定されている。
この曲は、6つの楽章で構成される比較的長い曲である。その中で、バレリーナによる優美な演技を連想させる第3楽章は、貴族趣味的なウイーン的な雰囲気で溢れている。
ベストな演奏は、どれか。
ウィーン室内合奏団のものではないかと思う。
テクニック的なことではなく、ウイーンという雰囲気を愛している様子が演奏を通じて伝わってくるからである。
模範演奏者と個性的なピアニスト [音楽・ドラマ・映画]
ショパンコンクルールなるイベントがある。
有名演奏家となるための登竜門であるショパンコンクールで表彰されるピアノ弾きたちは、選抜された方々だらけのせいなのか、コンクールでの模範演奏を意識して弾いているいるのではないかと思うようになった。模範演奏ばかりなら、ピアニストとしての個体差は見出せない。
ピアニストとて一人の人間。好きな曲は滅法上手いが、そうでない曲はミスが多い。地元出身のピアニストの演奏がそうだった。
最近は、コンクール優勝者であるか否かではなく、全集ものをきちんと録音するかどうかでピアニストの実力評価の物差しになるのではないかと思うようになった。
名手と言われるアルゲリッチの場合はどうか。テクニック的な冴えを感じさせる録音が多い。ただし、他のピアニストとの比較で優位に立てない曲目は選ばないピアニストであるようだ。全集ものを扱おうとせず、近年は連弾ものが多いこともあり、テクニック的な峠は過ぎたようだ。
巨匠レベルだと、ホロヴィッツとポリーニがいる。ホロヴィッツはダイナミックかつ歯切れの良い演奏が多い。ショパンのマズルカは気に入っている。ポリーニは難曲をさらりと弾いてしまうためか、芸術性が吹き飛んでしまう傾向があるものの、ショパンの前奏曲集、ポロネーズ集ならポリーニがダントツ。
ブレンデルは当たり外れが少ない気がする。ミケランジェロはライブ演奏もので優れた演奏をすることがある。気分的に乗った時の冴えはさすがと思う。バレンボイムはバランスの取れた演奏をする。
ピリスは、一度故障した後、甦り、彼女ならではの名演奏を披露した。モーツアルトのソナタ集、ショパンの夜想曲あたりは必聴。
サンソン・フランソワというフランスのピアニストがいる。弾き方が、あまり型にはまらず、リラックスした雰囲気のピアニスト。その曲が持つ、特徴、情念を引き出そうとしている。悪く言うと、脱線気味、良くとると思いのまま。思わずブラボーと叫びたくなることがたまにある。
フランスものでは、カサドシュがいる。テクニックを強調せず、上品な弾き方であると思う。ラヴェル、ドビッシーは必聴。
辻井伸行はどうか。透明感ある渓流みたいな場所での演奏に聴こえる。フジコ・ヘミングは、テクニック的には今一つな気がするが、メロデイライン的には日本人受けしやすい。ショパンなら、中村紘子の方がいいような気がする。名手としては内田光子がいる。少し頑張り過ぎているように見える。ピリスのようにリラックスして聴ける演奏であって欲しいと思っている。
最近は、有名か否かではなく、リラックスして楽しめるピアノ曲を探して聴くようになった。フィンランドものを得意とする舘野泉の、季節感溢れる叙情的演奏は別格。パルムグレンのピアノ曲は、この人のものが最高ではないかと思うほどである。
モーツアルトのピアノソナタの難しさ [音楽・ドラマ・映画]
50歳過ぎてピアノを習い始めた会社の先輩が、モーツアルトのピアノソナタの難しさを何度も語った。
ショパンは難曲はあるが、それを除けば、モーツアルトのピアノソナタほどの難しさはないとのことであった。
難しさは、譜面を見て弾くだけのことだけを指していない。演奏した曲を自分で聴き、他の演奏者による演奏と比較することを前提としている。
言われた当初、言葉の意味がわからなかった。その先輩は、仲道郁代のファンであった、仲道郁代のモーツアルトのピアノソナタは、ピアニシモが印象的だった。
ブレンデルも似ている。聴く側に考えさせる余韻みたいなものがあった。
対照的なのは、リリー・クラウス。リリー・クラウスの演奏はどれもきりっと透き通った印象がある。
ピリスは、リリー・クラウスに近いが、よりリズミカル。バレンボイム、ツアハリスは、余裕ある演奏のようでテクニック的に優れているように聴こえた。内田光子の場合は、モーツアルトにしては尖がった演奏パターンを指向している点で凄いと思った。
モーツアルトのピアノソナタを「けたたましく元気一杯に弾く」ピアニストはいない。しかし、ピアノを習いたての初学者は違う。私は、家でけたたましく元気一杯のピアノソナタを聴かされ、その残像のせいで、モーツアルトのピアノソナタがずっと嫌いだった。
つまり、ホロヴィッツやアルゲリッチという大御所が、モーツアルトのピアノソナタの全曲録音をしようとしないのは、この点にあるのではないか。
テクニックだけでカバーできない別次元の領域が存在、それは、演奏者の心構え、心の領域のような気がするのである。
なお、私のお気に入りは、若い時代のピリスの演奏である。